今年の年末調整は「例年より要注意」。秋のうちに始めたい早めの準備
年末調整は毎年のことなので「いつも通りで大丈夫」と思われがちですが、令和8年(2026年)分は少し事情が違います。基礎控除の引き上げをはじめとする改正が重なり、書類の様式も変わる見込みです。改正が多い年ほど、準備は早いほうが安心。まだ暑いこの時期ですが、秋のうちに段取りを始めておくと、12月をぐっと落ち着いて迎えられます。今回は、今年の年末調整で押さえておきたい変更点と、準備の進め方をやさしく整理します。
なぜ今年は「例年より要注意」なのか
令和8年分は、所得税の基礎控除などが見直される年にあたります。控除が広がること自体は納税者にとってうれしい話ですが、実務の面では、書類の様式が変わったり、扶養に入れられる家族の範囲が変わったりと、確認すべき点が増えます。毎年と同じ感覚で進めると、思わぬ抜け漏れが起きやすい年、と考えておくとよいでしょう。
おもな変更点
細かい数字はさておき、経営者・担当者として押さえておきたいのは、大きく次の3点です。添付の図解にも整理しました。
一つ目は、基礎控除などの引き上げ。控除額が広がり、所得税がかからない収入の範囲(課税最低限)が、給与収入でおおむね178万円の水準まで引き上げられるとされています。二つ目は、扶養に関する範囲の見直し。配偶者や親族を扶養に入れられる収入の目安が広がる方向で、これまで対象外だった家族が対象になるケースが出てきます。三つ目は、申告書などの様式変更。扶養控除等申告書の様式が変わる見込みで、新しい様式での提出をお願いする必要が出てきます。
なお、毎月の給与から差し引く源泉徴収は例年どおりの税額表で進み、改正分は12月の年末調整でまとめて精算される見込みです。金額や様式の詳細は、公表される最新の情報でご確認ください。

秋から始める準備ステップ
準備は、いちどに全部やろうとせず、順を追って進めるのがコツです。図解のように、9月から少しずつ動き出すイメージです。
まず9月ごろに、今年の変更点と新しい様式の情報を集め、自社の給与計算ソフトが対応しているかを確認します。次に10月から11月にかけて、従業員へ早めに案内し、扶養している家族の今年の収入見込みなど、必要な情報を集め始めます。範囲が変わる年は「去年は対象外だった家族が今年は対象になる(またはその逆)」ということが起きやすいため、早めの声かけが効いてきます。そして12月に、集めた情報をもとに年末調整を行い、精算します。

経営者・担当者が気をつけたいこと
改正の年は、従業員からの「今年は何が変わるの?」という質問も増えがちです。あらかじめ要点を共有しておくと、問い合わせ対応もスムーズになります。また、様式が変わる年は、古い様式のまま集めてしまって集め直し、ということが起こりやすいので、必ず新しい様式で依頼することを意識しておきましょう。給与計算ソフトのアップデート時期も、早めに確認しておくと安心です。
従業員から増えそうな質問と、答え方
改正の年は、従業員からの質問も想定しておくと安心です。たとえば「今年は手取りが増えるの?」と聞かれたら、毎月の給与から引かれる金額は例年どおりで、改正分は12月の年末調整でまとめて調整される見込みです、と伝えられます。「親や配偶者を扶養に入れられる?」という質問には、扶養に入れられる収入の目安が広がる方向なので、去年は対象外だった家族が今年は対象になることもあります、いちど収入を確認してみましょう、と案内できます。あらかじめ想定問答を用意しておくと、問い合わせ対応の負担もぐっと軽くなります。
経営のパートナーとして、ひとこと
年末調整は、従業員一人ひとりの税金を正しく整える、大切な年に一度の作業です。改正が重なる今年は、準備の早さがそのまま「12月の余裕」につながります。慌てて年末に駆け込むより、秋のうちに段取りを整えておくことが、いちばんの近道です。
自社の給与計算や、どの従業員がどの変更の影響を受けるかは、人員の構成によって変わります。本コラムは一般的な考え方の整理にとどまり、制度の詳細は今後の公表内容によることもありますので、具体的な対応については、詳しくは専門家にご相談ください。私たち税理士法人長谷川共同会計事務所は、変更点の整理から様式・ソフトの準備、実務の進め方まで、年末調整を一緒に段取りしてまいります。
「今年の年末調整、うちは大丈夫だろうか」と少しでも気になった方は、どうぞお気軽にご相談ください。秋のうちに一度整理しておくだけで、年末の景色が変わります。初めての方のご相談も歓迎しています。まずはお問い合わせフォーム、またはお電話からお声がけください。